コロコロコミックのチンギスハン侮辱漫画、在日モンゴル人の言い分
チンギスハン侮辱漫画、在日モンゴル人「下品で低レベル、英雄汚した」
モンゴルの英雄チンギスハンの顔に侮辱的な描写を掲載した小学館の漫画誌に対し、元横綱朝青龍をはじめ、在日モンゴル人やモンゴル大使館が「非礼」と抗議。3月初め、小学館は掲載号の書店販売を中止しました。
モンゴルの人たちは、この漫画表現にどんな思いを感じたのでしょうか。日本で活動する中国・内モンゴル自治区出身の写真家、アラタンホヤガさんが執筆します。
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2月、私は義母の入院で急に中国の内モンゴルへ戻った。その後、義母の容態が落ち着いてきた。ちょうど旧正月でもあり、私は実家から1000キロ離れた内モンゴル北東部に位置するフルンボイル草原まで、モンゴル族ブリヤート人の正月行事を取材するため、出かけた。
滞在中のある日、中国版SNSのWeChatに日本語の記事が流されていることに気づいた。しかし、奥地でネット環境が悪くてそのときは内容を確認できなかった。2日後、フルンボイルの中心ハイラル市に戻った際、ようやく読むことができた。
そこには目を疑う内容が書かれていた。それは小学館が発行する「コロコロコミック」(2018年3月号)に掲載されたギャグマンガ「やりすぎ!!!イタズラくん」でチンギスハンを侮辱した描写があったという内容に抗議する日本語とモンゴル語の記事だった。
最初は何かの間違いか、あるいは誰かのいたずらかと思い、Yahoo!JAPANを検索してみた。するとその記事と関連する記事がたくさん出てきた。本当にショックだった。
なぜなら、私たちモンゴル人は日本や日本人に対して、非常に親近感をもち、勉強熱心さ、勤勉さ、真面目さ、ものづくりの素晴らしさなどに尊敬を持っているからだ。このことは言うまでもない。
日本のアニメはモンゴル国や私の出身である中国内モンゴル自治区でも高い人気がある。私も小学生の時、「一休さん」のアニメが大好きだったし、母たちが「おしん」のドラマをみて泣いている様子を何度も見た記憶がある。
しかし、そんなイメージを抱いていた日本でこのような漫画が、大衆に対して堂々と出版され、そして受け入れられたことが、多くのモンゴル人のみならず、世界中のチンギスハンを尊敬し、神様として崇めている人たちにとって何よりも悲しいことだった。
モンゴル人にとってチンギスハンは、単なる過去の英雄ではなく、精神的な支えであり、永遠の神様であり、心の中で永遠に生きている存在だ。内モンゴルのモンゴル人の家には必ずチンギスハンの肖像画が高いところに飾られ、大切に祀られている。私も日本に来るとき、重かったが銅版を持ってきて、今も飾っている。
また、チンギスハンに関連する多くの行事や口承伝説、歌なども残っている。現在も日常生活の物事や議論などでチンギスハンの名言や定めを引用する場面が多く見られる。
私は幼い頃、父にチンギスハンの物語を聞いて育った。父は内モンゴル南部オルドス地方のチンギスハン霊廟を代々祀ってきたタルハッド一族の出身で、熱心なモンゴル語の教育者だった。
小学生になってからは子供向け月刊誌『チョモルリグ』(日本語ではつぼみの意味)に掲載されていた歴史小説『フヘ・ソドル』を基にした漫画を何回も読んでいた。モンゴル人作家インジナシ(1837~1892年)が、チンギスハンから次代オゴディハンまでの歴史を著した内容だった。そのため、チンギスハンはすごい英雄だなあと思うようになった。
だが、モンゴル人にとって英雄であるチンギスハンも、他国の歴史観からは異なる評価を受けることがある。ソビエト時代のモンゴル国では、チンギスハンは侵略者であり残酷な殺略者として批判されていた歴史もあった。その時代のモンゴル人は彼の名を口にすることすら恐れたという。
しかし現在のモンゴル国はもちろん、中国もチンギスハンを英雄として讃えるようになった。特に中国ではチンギスハンは中華民族の誇り高い英雄として、ニュースや雑誌などにもよく取り上げられ、数多くの映画やドラマが製作されている。
2017年にオルドスの裁判所が、チンギスハンの肖像を踏みにじる動画をSNSに流した一人の青年に対し、チンギスハンを侮辱し、多くのモンゴル人の心を傷つけたとして、一年の実刑判決を言い渡したことは記憶に新しい。
私たち内モンゴル自治区のモンゴル人は、チンギスハンはあくまでもモンゴル人であり、そうした中華民族の英雄扱いと異なる考えを持っているのも事実だ。だが、この判決は「中国当局がモンゴル人の感情に配慮した」と好意的に受け止められた。
チンギスハンはモンゴル国や内モンゴルだけではなく、ロシア連邦のブリヤート共和国やカルムイク共和国といった広範囲に散らばっているモンゴル民族でも先祖として崇拝されている。チンギスハンの活動によって、今日のモンゴル人が共通のアイディンティーをもち、一つの民族として、自分たちの文化を育み、歴史の中に生きていると言っても過言でない。
世界史をみても、チンギスハンはおそらく最も重要な人物のひとりだろう。チンギスハンは当時のユーラシアの貿易を促し、文化、宗教など多くの分野において、広範囲にグローバル化を実現し、人類史で重要な貢献をしたことは異論の余地がない事実だ。
このように敬愛されているチンギスハンに侮辱的な落書きをしたことは、モンゴル人には到底許されない。当時、東京にいるモンゴルの人々が集まり、抗議活動を行ったが、彼らの行動は冷静的、かつ友好的な範囲だったように感じている。私は取材で内モンゴルにいたため、参加できなかったが、彼らは小学館へ抗議する際も、日本の法律を守り、抗議文の言葉遣いも日本国民の感情を尊重したものだった。
この問題に対しては、言論の自由を前提に問題がないとする人も多く、賛否両論あるのは知っている。しかし、私は少し違う見解を持っている。
今まで、小学館は小学生向けの雑誌を取り扱い、教育関係を重視する出版社だと思ってきた。私も日本語の勉強を始めた頃から小学館の日本語辞典をよく愛用していた。日本の教育に多大な貢献と信頼がある出版社が、このように無責任で下品な漫画を出版するとはとても理解し難い。日本の学校で、小学生が教科書にこのようないたずらな落書きをしたら、必ず先生に叱られるという低レベルの話と言うしかない。この漫画ではチンギスハンだけではなく、アインシュタインなど世界に知られる著名人が多数、不適切な描写の対象になっていた。
民主国家において、自由は全ての基本であることは間違いない。ただ、その自由は法律、道徳、モラルなどをも前提にすべきで、言論はその社会、歴史、未来に対して、責任があるものでなければいけない。今回の件は単なる日本国内の漫画の一描写ではなく、モンゴル民族の感情を激しく傷つけ、失望させた。その件に関して当事者だけでなく、社会全体が真剣に考え、反省するべきではないかと感じている。
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アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。
【THE PAGE記事】
参照元:ヤフーニュース
URL:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180313-00000002-wordleaf-soci&p=1
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それなら、日本の国技を当時の横綱2人が汚したことをモンゴル国民全体で反省していただきたいのですが。
だが、もう小学館が謝罪してるから終わりにすれば良いじゃないかとも思ったけどそれ以前に作者は雲隠れだったか?
神格化しちゃってるのは十分わかったけれど、あまりしつこいとそう言う認識になりますよ。
ロシア人にはちょっとアジア人の面影がありますよね?
なぜだと思いますか( ̄▽ ̄
あれは正確にはモンゴル人の血が入っているのです。
いつ入ったかと言うと
13世紀~14世紀にかけて『無理矢理』入りました。
つまり、
モンゴルとチンギスハンはそういう事を東欧やロシア人に行った人間達です。
『チンギスハンは英雄ですか?』と
東欧人やロシア人に聞いてみればいい。
みな激怒して否定するでしょう( ̄▽
しかし今回の件で、チンギスハンがモンゴル人にとってどのような存在であるかを考える事ができた。
貴重な経験として、後に生かせばよいのでは?
単なる謝罪だけではなく、モンゴルの方もそちらを望んでいると思います。
ただ額にチ○○ン描くのは誰にやっても良くはないけどね。
それとあいかわらずネット記事には誤字が多いね。ちゃんと見直してるのかな?
言うほど問題だと感じませんでした。
以前、白人のモデルさんが和服を着て、人種差別だって記事を読んだんですけど、当の日本人は差別的だなんて思ってないんですよね。
この二つに似たところを感じます。
落書きをするかしないか、和服を着るか着ないかではなくて、そこに悪意があるかないか。
そこが日本人の判断基準な気がします。
(自分だけですかね?)
チンギスハンの肖像画にいたずら描きをするユーモアに品があるかないかは別にして、あくまで子供の遊びとして描かれているから、それほど気にならない。
これが侮蔑の意味で行われたならば、もっと日本人からの抗議がでたのではないですかね。
和服もそうですよね。
着物に好意を持って着てもらえるならむしろ大歓迎ですが、侮辱の道具に使われるなら、断固抗議したくなります。
散々取り上げたんだし
昔の偉人も他からみたら単なる侵略者ってのもあるしな。
相撲問題からモンゴルのイメージダウンが続きます
悪意の有無に関わらず、当事国の人々(始まりは朝青竜さんからだったにせよ)が不快に感じたという事実がある以上、然るべき対応を取ったという点はご理解いただきたいし、そこを超えて日本人に対して何かしらの注文をつけるのは話が違います。
あの格好で歌って踊って、あれな歌詞で
モンゴルから厳重な抗議を受けたのだろうか
ジンギスカンの息子がロックスターに憧れる、なんて曲もあったような
小学館だっけ謝罪して終わりにすればよいことだと思う。
ここまでくれば、もう日本での表現の自由や言論の自由まで奪われかねないことになるような気もしてくる。
一番に元朝青龍が騒いんだんでしょ・・・あいつが一番下品で低レベルに思えるよ!
多くの日本人は、キリスト教やイスラム教の重要人物や聖典を揶揄することはしてはならない、という共通認識はあるとは思うが、チンギス・ハンに対するモンゴル人の考え方は知らなかったのだと思う。これから、それを理解し、認識を広めていけば良いと思うけれどな。
かつて西洋の人々は、日本人にとって天皇という存在がいかに特別なのかを理解していなかったが、今では、それを理解してくれている人が大半だ。日本人も、モンゴル人の考え方を理解していけば良いと思う。
それはたとえ神武天皇であっても変わりません
怒る人はいるでしょうけど、出版の差し止めとかはありえないです
モンゴルの人にもその辺をご理解いただきたかったです
怒る人がいるのは全然かまわないし、お国柄によっては当然のことなのかもしれないです
ただ、外務省に申し入れるとかは筋違いだと思います(その筋違いに応じて出版社に圧力をかけてしまう外務省も問題ですけど)
チンギスハンはモンゴルの人達にとって英雄であって良い。それは尊重し敬意を払いたい。
一方で、他国にとっては侵略者であることも事実であり、その見方も尊重されるべきで、文句をつけるべきではない。
漫画は確かに下品で低レベルかもしれないが、子供の頃に教科書の偉人に落書きをした経験は多数の人が持っている。
権威に押しつけられた物を盲目的に崇めて異論が許されない世界よりも、ずっと健全で好ましいと思う。
ただ、モンゴル側も余りしつこいのは感心しない。朝青竜が暴行事件で引退した時にはこれでもかと言うほど抗議をしていたし、以前、日本とモンゴルでわんぱく相撲の対決があった時には、相手に軍配が上がった時には何度も行事に抗議して取りなおしをさせていた。
日本では、肖像画にイタズラするのは小中学生でもよくやるが、教師も注意するなど聞いたこともない。ある意味容認されてしまっていて、どちらかと言えば、チンギス・ハンへの敬意が足らないというより、落書きの「軽さ」が根っこにあると思う。そのギャップが露呈したとも言える。
一方で、フランスの雑誌が東日本の原発事故を揶揄する諷刺画を掲載したときも、フランス人の対応は「なんでこの程度で怒るんだ?」みたいに素っ気なかった。
今後、こういうギャップはいろんなところで露呈するだろうが、起こさないように気をつけることも必要だが、起こってしまったときに、どちらの立場になるとしても冷静に対処したいものだ。
日本人は、あまり昔の偉人に、そこまでの敬意を示すことは無い。
向こうでは神様であり信仰の対象である。
日本で神格化された偉人って言えば菅原道真で天満宮で学問の神様って
言われているけど受験の時に拝む程度。
天皇にしても現在では日本の象徴であって神ではない。
多分、感覚的に戦前日本の天皇に近い感覚何だろうと思う。
だからって規制して自由が無くなるのも嫌だけど、表現の自由が有るからって何でも好き勝手にしても良いのとも違う。
文化の違いと自由の意味を少し考えさせられる。
ガキの漫画程度のことでそんな騒ぐなら
日本の国技の相撲の
横綱という立場で問題起こした白鵬は
何か責任取るの?
日馬富士も部屋に戻ってきたんだろ
ずいぶん甘いね
お笑い芸人のネタは?TVだと駄目って?
あとはこの先ザビエルさんに対しても配慮しなくちゃならないのかな?
誰ならOK?
差別主義的な人々、どの国にも一定数いるが、今回は、そのような企画や製作者の教養、倫理観が残念だったということだよね。
やはり、教育が大事だと思いました。
モンゴル人には差別はないのかな?他者をみて自らを省みることは誰しも大切だね。
ただ、今回の問題はそれとは別。
まず、日本では英雄ではなく、歴史的には侵略者のお爺さんですね。
作者と編集者が謝罪して終わりでいいでしょう。
日本人としては聖徳太子や信長や家康が他国で幼稚雑誌の落書きの対象になっても笑って許せるなぁ。
この件に関しては因縁ある白鷗と手を取り合って抗議する位!
それほど尊敬を集めている人だという事を、漫画家が知らなかったのは仕方ないにしろ
高学歴で、大手の出版社で人気コミックの担当者や編集長が認識なく、問題意識がなかった方が問題では?
これは、作者ではなく編集長の責任だと思う。
仮に名前がマイクデービスだったら弄られないと思う。
確かにああいうのはやっちゃイカンよ。
教科書の落書きって、そりゃ下品かもしれないけど、他国の英雄や著名人を貶めるために意図して書いてるわけじゃない、文字通りイタズラでしょ?だからと言って済むわけでゃないけど、こっちがそういう意図でモンゴルの人々に取材してたらとれるしこりも取れないでしょ。メディアは必要のない問題まで大きくしすぎ。
あまり興味がないこともあって自分だけかも知れないけど
そんなの初耳で記憶に新しいと言われてもね
なんでもかんでも全体のせいにして良いわけではない。
この記事は世論誘導じゃない?と感じる。
下品なのとか「真似しないでください」が必要なやつとか、
実在のスポーツ選手や他社キャラクターをモデルにしたキャラクターで酷いネタをやるとかいう漫画がある。
よく桑田や円谷プロやその他に訴えられなかったなあと。
誰か強い人を英雄にして武器を持ち、あるいは宗教で人をまとめないと存続できなかった。
日本は幸い周りを海で囲まれていたから、外敵にそこまで神経質になる必要はなかった。時には外から嵐で流れ着いて来た船に、新しい野菜や家畜がのっていたりした。時折おこる災害が悩みの種だった。だから神様がいっぱいいるし、英雄も冗談の種になる。技(術)を重んじる。
そこのところは、違っているから気をつけないと。
でも、いずれ皆がそのようなことを気にしすぎなくてよい世界になるといいとは思うけれど、一朝一夕には無理でしょう。
全てのモンゴル人が100%崇拝しているわけでもない。風刺もあるはず。
日本人が正面切って侮辱したわけでもなく、その後の対応もしているし。
作者もネタを出そうと毎月必死だったろうし、担当、編集長もそれでOKを出した。これで子供が笑ってくれる。また来月も頑張ろう…となった所へこの大問題。
一番の責任は作者じゃなくて出版元、そしてすぐに動かなかった外務省だと思うのに、作者ばかり叩かれている気がしてならない。
子供は大笑いで毎月毎月コロコロを買っています。
いたずら君への募集ページ(だったかな)も出したがっていました。
どうぞめげずにこれからも頑張って。
下品で低レベルと言われても、まあ、そうですね、としか言いようがない
日本全体でああいう漫画を容認しているわけではなく、子供向けだからなあと言う目で見ているに過ぎない
ああいうのを一番毛嫌いしているのは、同年代の小学生女児だろうw
次いでPTA
大人向けの雑誌だったらともかく、子供向けの雑誌でここまで言われてもなあ、と感じてしまう
とりあえず、チンギス・ハーンは要注意、と今後認識すればそれで良いと思うんだけど
でも、日本の象徴であれば、こういうことはしないかも。
その国にとっては、そういうことなのかな。
それにしても過剰反応だとは思うけどね
しかしモンゴルの人はいい気はしないでしょうけど、どこぞの二国と違い賢明だから分かって頂けると思います。
勉強熱心、勤勉、ものづくりへの探究心。ここまでは合ってる。ただし『真面目』というのは『皆と同じじゃないと不安』という方が正しい。だから一度流行ればそれが何でも大半の日本人は盛り上がる。その対象物が適切かどうかではなく『皆と共有』してる事が大事だから。
モンゴル人に限らず海外の人達の話を聞いてるとこの辺の認識に誤差を感じる。
何と言うか、勝手に期待を抱かれて勝手に失望されてもなあ…と思う。
でも傷つけちゃった以上、まずは真摯に誤りを認め、謝罪するのは正道ですね。
表現の自由を謳歌する為にも、もっと頭を絞って小学生の人達に読む楽しさを伝えて欲しいと願ってます。
そこまで騒ぐことじゃないと思うよ。
もう終わりでいいじゃん。
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